「冬の妖精」と呼ばれるくらいかわいいシマエナガ(漢字名:島柄長)を、あなたは実際に見たことがありますか。これから迎えるウィンターシーズンは、じつはシマエナガウォッチングに最適なのです。この記事ではシマエナガとはどんな鳥なのか、どこに生息しているのか、目撃スポットはどこなのかを解説します。

シマエナガとはどんな鳥?

はじめに、シマエナガとはどのような野鳥なのかを解説します。

シマエナガの特徴は?

小ぶりな身体にふわふわな真っ白な羽毛。つぶらな目には黄色系のアイシャドウのようなキレイなラインが入り、小さなくちばしをもつシマエナガ。くちばしの先から尾までの全長は13.5cm、体重は約10gとすずめよりも小柄です。白い頭と黒く長い尾が特徴です。シマエナガはエナガ(スズメ目エナガ科)の亜種で、亜種とは「同じ種(しゅ)が地理的に隔離されて独自の文化をとげ、形態的に違いのあるもの」のことを言います。

シマエナガはSNSなどで見られるようなもこもこな姿で現れるのは、冬季のみです。これは、冬の寒さから体を温めるために、羽毛の間に空気を溜めているからなのです。

シマエナガの性格は?鳴き声は?

シマエナガはその見た目から、温和で争わない雰囲気が感じられますね。一方で、じつは活発によく動く鳥なのです。気性も荒い方で縄張り意識が強く、飛びながら体当たりをして攻撃することもあるのだとか。

鳴き声は高い声で「チーチー」「ピーピー」や、ちょっと低めの声で「ジュリリジュリリ」と鳴き、大きな声ではありません。動画などでシマエナガの声を一度聞いておくと、シマエナガウォッチングのときに役立つかもしれません。

シマエナガの群れの興味深い話

繁殖期(4月〜6月)にシマエナガ夫婦は「新居」の巣作りをします。その場所はオスが紹介し、メスが決定するそうで、巣作りは夫婦共同作業で行われます。1回の産卵数は7〜12個。日中はメスが抱卵し、夜はオス・メス両方で抱卵し共同で子育てをします。

繁殖後は、家族群がほかの家族群と群れ(合同群)になり、冬の群れごとの縄張りができます。個体のままのシマエナガはその鳥同士で群れをつくり、合同群から立ち去ります。冬の群れの縄張りの広さは0.3㎢ほどで、オスが共同で群れを守ります。また、繁殖期のつがいは群れの縄張りからは出ないそうです。

シマエナガの生息地と会える場所は?この冬のおすすめスポット!

シマエナガの目撃情報が多い場所はどこ?生息地と合わせてご紹介します。

シマエナガは北海道にしか生息していない?

まず、北海道に生息する「エナガの亜種」のことをシマエナガと言います。次に、エナガの分布ですが北海道、本州、四国、九州、対馬、佐渡島などに留鳥として生息しています。また、ユーラシア大陸の中緯度地方にも生息していますが、高乾燥地やヒマラヤ山脈には生息していません。エナガはこのように日本国内だけでなく海外でも見られますが、「エナガの亜種」であるシマエナガは北海道内でのみ生息しています。

シマエナガの目撃スポットは?

シマエナガに会いに北海道へ行くなら、真冬の12月〜3月がおすすめです。ここではシマエナガの目撃スポットをご紹介します。

札幌市内の主要目撃スポット

シマエナガは冬に街路樹などの樹液を求めて市街地に下りてくることで、目撃タイミングが増えるようです。札幌観光と一緒に楽しむことも◎。

【旭山記念公園】 

「札幌のまちなみを見渡せる、自然豊かな公園」として、1970年に札幌市創建100年記念事業のひとつとして造成されました。高台にある公園で石狩平野、日本海、札幌市内を一望できます。シマエナガはいつもいるようではなく、2時間ほど観察していれば大体見られるようです。「森の家西側の沢」「ミュンヘンの森からポートランドの森にかけて」「森の家北側のカラマツ林帯」で目撃情報は多めです。


【丸山公園】 

開拓使が設置した樹木の試験場を整備してできた公園が、円山公園です。園内ではリスや野鳥も観察でき、円山動物園もあります。シマエナガはおもに午前中、カラマツや「円山公園パークセンター」から「自由広場」のあたりで目撃されている様子です。


【モエレ沼公園】 

1982年に着工、2005年にグランドオープンしたモエレ沼公園。基本設計は彫刻家のイサム・ノグチ氏。氏のデザインした遊具が園内に126基あります。シマエナガの目撃は、2023年はじめから2024年春先くらいまでよく見かけられていたとの情報アリです。


【滝野すずらん丘陵公園(国営)】 

公園内は、渓流ゾーン、滝野の森ゾーン(西エリア、東エリア)、中心ゾーンの4つのエリアから構成されています。季節のうつろいで「花」「森」「遊び」を様々に楽しめます。シマエナガは、木々の葉が落ちる冬場に比較的多く見つけやすいようです。


【藻岩山】 

藻岩山は標高531メートルで、ほぼ札幌の中心に位置します。山頂の展望台からは高層ビル群の都市部や、緑豊かな自然を見渡せます。森林性野鳥も多く生息し、登山道を歩くことで、シマエナガを目撃しやすいようです。


【大通公園】 

テレビ塔がシンボルの大通公園は、札幌中心部に位置する特殊公園です。季節ごとのイベントではさっぽろ雪まつり、ホワイトイルミネーション、ライラック祭りなどがあります。また、花壇や芝生、樹木が美しく、噴水や彫刻もあります。シマエナガはやはり冬場が多く見つけやすいようです。


道内の主要目撃スポット

【ウトナイ湖:苫小牧市】 

ウトナイ湖は「野鳥の楽園」「植物の宝庫」と言われており、バードウォッチングの聖地としても知られています。また、1981年には日本初の野生生物保護区(バードサンクチュアリ)に指定されています。シマエナガは1年中見られます。真っ白でもこもこのかわいいシマエナガは、木々の葉が落ちた秋から冬にかけての時期が目撃のチャンスです。


【知床国立公園:斜里町】 

火山活動や流氷による自然の力の中で、知床国立公園は形成されました。公園内には多くの野生生物が生息しており、シマエナガは1年を通して見られます。早朝や夕方に活動が活発になるので、この時間帯に目撃されやすいようです。警戒心が強い野鳥なので、静かに眺めるのがよいでしょう。冬場はスノーシューで雪道をハイキングのように楽しめるツアーも開催しているので、知床観光を調べてみるのもおすすめです。


【春採公園:釧路市】 

1956年10月に供用が開始された春採公園。公園内では1年を通じてさまざまな植物や野鳥を観察できます。春採公園でのシマエナガは、雪が降ったあとに現れることが多く、何羽かの群れで動いている様子です。そして、思ったより小さく素早いので、見つける際は黒く長い尾と茶色の羽を目印にするとよいでしょう。また、公園内にある春採湖ネイチャーセンターは11月~翌年4月中旬まで休業となっています。

冬のシマエナガ見学ツアーはおすすめ!

シマエナガを見学するツアーを用意している自治体や旅行会社もあります。

旅行会社:金額や出発地、旅行条件(最少催行人数、食事回数、何泊なのかなど)の詳細や、おすすめポイントや現地ツアーガイドについて、宿泊する宿などを詳しく知ることができます。シマエナガウォッチと現地観光を併せて楽しみたい場合におすすめ。

ホテルが打ち出すプラン:シマエナガ探しのバードウォッチングや、シマエナガにちなんだコンセプトルームや食事が用意されていたりと凝ったプランが多め。開催日やプラン内容、料金、予約方法も要チェック。

アクティビティサイト:半日程度(3~3時間半程度)で、スノーシュートレッキングツアーが多め。参加料金のなかには何が含まれていて、何が含まれていないのかをチェックしておきましょう。防寒グッズ(ウェア、帽子、グローブ、ブーツなど)はレンタルができる場合があるので、あわせてチェックしておくとよいでしょう。

シマエナガはペット飼育不可!

かわいいシマエナガをおうちで飼ってみたいと思った方もいらっしゃるでしょう。ですが、シマエナガはペット飼育禁止なのです。その理由を解説します。

シマエナガは家庭で飼うことはできない

じつはシマエナガは家庭でペット飼育することを「鳥獣管理保護法」で禁止されています。
禁止項目は以下になります。

  • 野生鳥獣を許可なく捕獲すること
  • 違法に捕獲した鳥を売る・買うこと
  • 卵やヒナがいるのに巣を撤去すること
  • 違法に入手し野生鳥獣を飼育、販売、人にあげたりもらうこと
  • 違法に入手した野生鳥獣を剥製や羽毛製品、毛皮、食料品に加工すること

これらに違反すると、違法捕獲は懲役1年以下または100万円以下の罰金違法飼育は懲役6ヵ月以下または50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

北海道外でのシマエナガの最新越冬記録を確認!

北海道内でしか見られなかったシマエナガ。これがなんと、2023年~2024年の冬、宮城県での目撃情報がありましたのでご紹介します。

<引用:J-STAGE 抄録
これまで青森県を中心に本州での観察記録はあるが、詳細な越冬状況はなし。
2023年12月23日~2024年3月16日にかけて、宮城県北部の伊豆沼・内沼で、シマエナガが1〜6羽(最大20羽)断続的に記録された。これは本州で初となるシマエナガの詳細な越冬記録と考えられる。

<引用:河北新報ONLINEの記事(2024年1月12日付)>
「あのふわふわ野鳥は「シマエナガ」?北海道生息のはずが宮城県北で確認」
北海道に生息する「シマエナガ」とみられる野鳥が昨年末から宮城県北で確認されている。年中同じ地域にいる留鳥で、本州で目撃されるのは珍しい。専門家は「風で飛ばされるなど何らかの要因で本州に渡ったのではないか」と推測する。

まとめ

シマエナガは北海道にのみ生息し、一年中見られる野鳥でしたが、近年は宮城県での目撃情報があることもわかりましたね。もこもこのかわいい姿は冬の間だけで、夏場はシュッと細身になります。また、シマエナガは鳥獣保護管理法で守られている野鳥なので、家庭でのペット飼育は法律で禁じられています。

シマエナガに会いたいときは、北海道へぜひ行ってみませんか。「シマエナガ見学ツアー」は旅行会社、自治体、アクティビティサイトで探せます。この冬はシマエナガと一緒に心あたたかな冬をお過ごしください♪