急に外国人児童に日本語を教えることになったけど、経験も資格もないし、なにを教えたらいいのか見当もつかない……と困っていませんか?
日本に定住する外国籍人口は増えており、それに伴って日本語教育の需要も高まっています。一方で、外国人児童への日本語教育に関する情報はまだ少ないのが現実。教育現場で困っている先生がたくさんいます。
ここでは、外国人児童への日本語初期指導を3年間してきた私の経験をもとに、無料ダウンロードして教材が使える5選のおすすめサイトを紹介します。使う時のポイントも併せてお伝えしていきます!
外国人児童の日本語指導におすすめの無料教材サイト
無料教材がダウンロードできるおすすめのサイトは5つ。それに加えて番外編のサイトは、教材だけでなく指導案もあるので、外国人児童の日本語教育に対する知識や経験のない方でも使いやすいですよ。
ちびむすドリル 幼児の学習素材館
日本人の幼児向けの学習教材サイトですが、外国人児童の日本語学習に使えるものがたくさんあります。ひらがな、カタカナ、漢字といった文字の練習プリント、数や時計の練習プリント、語彙導入に使えるポスターや絵カードが豊富です。塗り絵や点つなぎ、間違い探しといった、遊びながら日本語を学べる教材も充実しているので、低学年児童の指導にもおすすめです。
ぷりんときっず
こちらも、日本人の幼児から低学年向けの学習教材が揃っているサイトです。レベルごとに表で教材が整理されているので、必要な教材を探しやすいのもポイント。特に、小学1年生のひらがな・カタカナ穴埋めプリントや、似ている文字プリントは、文字学習初期の副教材として活用できます。数や時計の学習プリントはもちろん、迷路やすごろくといった遊び系のプリントもあります。
すたぺんドリル
促音(小さい「っ」)・拗音(小さい「ゃ、ゅ、ょ 」)、長音(伸ばす音)は、外国人児童にとってかなり難しいポイント。このサイトでは、ひらがなもカタカナも、促音・拗音、そして長音を含む単語の練習プリントがあります。おすすめは、教師が単語を読みあげて、それを聞いて生徒が書くという練習をすること。その他にも、ひらがなは「数のかぞえかた」、「曜日・月・時間」、カタカナは「ひらがなからの変換」、「動物の鳴き声」、「国名」といったプリントもあります。教室での学習項目とうまく組み合わせ、副教材として使用すると効果的です。
すたぺんドリル | 幼児~小学生学習プリント 無料ダウンロード・印刷
愛知教育大学 外国人児童生徒支援 リソースルーム
こちらのサイトでおすすめの教材は「ひらがなワーク」「カタカナワーク」「ことばワーク」の3つです。ひらがなが一文字ずつ読めるようになった児童には「ひらがなワーク」、カタカナが一文字ずつ読めるようになった児童には「カタカナワーク」と「ことばワーク」を使うことで、一文字ずつの読み書きから単語の読み書きへと学習をステップアップさせることができます。
教材一覧 | 外国人児童生徒支援 リソースルーム愛知教育大学
東京外国語大学 多言語多文化共生センター
こちらのサイトの教材は、漢字(小学1年生から小学3年生)と、算数(足し算・引き算・掛け算・割り算・分数)の大きく分けて2種類があります。児童の母語で必要な説明が書いてあるので、漢字の導入と練習にとても便利です。ポルトガル語、フィリピン(タガログ)語、スペイン語、ベトナム語、タイ語に対応しています(ただし、ベトナム語とタイ語は漢字教材のみ)。また、児童によっては小学生高学年以上であっても、簡単な算数の計算が分からない場合も。必要に応じて、算数の教材も活用しましょう。
外国につながる子どもたちのための教材 – 東京外国語大学多言語多文化共生センター
番外編:こどもの日本語ライブラリ
指導計画例があるので、それに沿って授業を考えられるのがこのサイトの特徴です。カリキュラムも何もないところで授業をしないといけない場合も安心。オリジナル教材が無料ダウンロードできるうえに、市販のテキストや教材、子どもの日本語教育に関する本なども検索できます。ビデオライブラリでは、指導方法や留意点について説明した動画を無料で視聴できるので、外国人児童に日本語を教えるうえで非常に勉強になります。
日本語教材を使う時の注意点とポイント
どんなにいい教材でも、上手に使わなければただの紙きれになってしまいます。ここでは、教材を使う時の注意点とポイントをあわせて4つご紹介します。
使用目的をしっかり意識
教材を使う時に「児童になにができるようになってもらいたいか」という目的をきちんと意識しましょう。例えば「ひらがなを読む練習」といっても、読むひらがなは一文字ずつか、単語単位か、文章単位か。単語を目で見て意味を分かるようにしたいのか、教科書の文章を流暢に音読させたいのか……。目的はかなり細分化されます。
レベルに合った教材選択
次のポイントは、学習レベルに合わせた内容・量の教材を選ぶことです。教材の最初の方で児童の手が止まってしまう場合は、問題のレベルが難しすぎることが多いです。例えば、まだひらがなが全部読めない児童に、新出語彙のリストを渡して読むように言ったり、書く練習をさせたりしても意味がありません。逆に、児童がすぐに教材を終えてしまい、つまらなさそうにしている場合、その教材は簡単すぎると言えるでしょう。
文字フォントに注意
教材で使われている文字の形は、必ず確認するようにしてください。例えばひらがなの「き」「さ」「り」は、使われているフォントによって繋がっていたり繋がっていなかったり。日本人にとってはどちらの形もなじみがありますが、外国人児童にとっては混乱の原因になります。児童にとって新しい形が出てくる場合は、それを教師側がまず認識し、必要に応じて教えるようにしましょう。サイトによっては、フォントが数種類用意されている場合もありますよ。
4技能のバランス
「話す・聞く・読む・書く」の4技能をバランスよくのばせるような教材選択を心がけましょう。日本語力の向上に重要なのはもちろんですが、同じことを長時間させられることは児童にとって苦痛です。ただ教材をずっと読んでいるだけ、書いているだけ、ではなく、どうしたら発話が引き出せるか、どうしたら聞く練習ができるか。工夫ができると、授業も楽しくなっていきます!
まとめ
今回ご紹介したサイトの教材は、ダウンロードしてそのまま使えるものばかりなので、授業準備の負担も減るでしょう。お伝えしたポイントも含めて、今回の記事が少しでも授業作りのヒントになることを願っています!