2024年の大河ドラマが吉高由里子さん主演の紫式部の生涯を描いた「光る君へ」に決定しました。脚本を大石静さんが担当。題名の「光る君」とは「源氏物語」の主人公である光源氏と藤原道長を指します。

今回の大河ドラマでは、紫式部に「まひろ」という名を与え、新しい紫式部が描かれる予定です。

大河ドラマを見る前に「紫式部」と「源氏物語」について知るとより大河ドラマが楽しめます。しかし、遠い平安時代の女性の話または、古典の長編恋愛小説とは難しそうと躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。

実は、紫式部も「源氏物語」も現代の私達との共通点や共感できるところが沢山あります。この記事では、「紫式部」と「源氏物語」をもっと身近に感じていただけるように作品をまじえながらご紹介します。

大河ドラマで話題の「紫式部」の人物像とは

紫式部の本名はわかっていません。「紫」は「源氏物語」のメインヒロイン紫の上、「式部」は父為時(ためとき)の役職名、式部丞(しきぶのじょう)が由来だといわれています。紫式部がどのような人物だったのかをご紹介します。

紫式部の生涯

紫式部は、藤原北家の流れをくむ名門出身ですが、階級は受領(ずりょう)階級という中流貴族でした。
家系は、学才のある人物が多く、紫式部も父親から漢学・音楽・和歌の教えを受け、才能を発揮していました。
ここでは紫式部がどのような生涯を送ったのかを探ってみたいと思います。

産まれてから宮仕えする前まで

生没年:970年~978年の間に産まれ~寛任(1019年)ころ。
父親(藤原為時)の影響により漢詩を読むことができた紫式部は、父に「この子が男の子であったらどんなによかったか。」と言われたほどの才女であったと言われています。

親子ほど年の離れた藤原宣考(ふじわらののぶたか)と結婚し、大弐三位(だいにのさんみ)という娘を設けるも夫は結婚後、3年で他界。

シングルマザーとなった紫式部は「源氏物語」の執筆に力を注ぎます。

宮中の生活と「源氏物語」の執筆

源氏物語が評判を呼び、紫式部は藤原道長の娘、中宮彰子(しょうし)に女房(貴族に仕えた女性の使用人)として仕えることになります。5年ほどの宮仕えの間に「源氏物語」を書き上げたといわれています。
宮中を去った後の紫式部についてはわかっていません。

「源氏物語」のストーリーをつかもう

世界最古の長編恋愛小説ともいわれる「源氏物語」の内容を簡単にご説明します。
平安貴族の華やかな恋愛物語のイメージを持たれることが多いですが、その反面、登場人物の苦悩もたくさん描かれとても興味深い作品です。

第一部 光源氏の恋愛と栄華を描いた物語(一帖 桐壺~三十三帖 藤裏葉)

光輝くように美しいから「光る君」と呼ばれた光源氏の恋愛と栄華が中心となります。光源氏と数多くの女性たちの恋愛が中心に描かれ、内容も淡い片思いから禁断の恋まで多岐に渡ります。

女性たちは個性豊かでとても魅力的です。全員をご紹介したいところですが、数が多いため、ここでは、数多くの女性たちの中から特に重要な5人の女性たちを紹介します。

・紫の上(むらさきのうえ)
「源氏物語」のメインヒロイン。幼い頃光源氏に引き取られ、のちに妻となる。

・藤壺女御(ふじつぼのにょうご)
源氏の義理の母。亡き母によく似た光源氏憧れの女性。一度は心を通わせ、不義の子(冷泉帝)を出産後、出家し、光源氏の手の届かない永遠の憧れの女性となる。

・葵上(あおいのうえ)
光源氏の最初の正妻。源氏の息子、夕霧(ゆうぎり)を出産後、六条御息所の生霊により死亡。

・六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)
先代東宮の未亡人。源氏と恋仲になり、嫉妬から生霊となり葵上を殺害。亡くな  った後も怨霊となり、源氏の人生に影響を及ぼす。

・明石の君(あかしのきみ)
光源氏が須磨に流されていた時に出会った女性。源氏との子明石の姫君を出産する。

また、仕事面でも光源氏は順調に出世し、最終的には準太政天皇(じゅんだいじょうてんのう)という天皇に次ぐ地位を与えられます。

第二部 光源氏の悲しい晩年 最愛の女性の死と幼妻の裏切り。(三十帖 若菜上 ~雲隠)

華やかな人生を送っていた光源氏は非常に辛い晩年を送ります。

新しく異母兄の娘である女三宮(おんなさんのみや)を正妻に迎えると、紫の上は心労から体調を崩します。女三宮は柏木(息子の友達)と密通。不義の子薫(かおる)を出産後、出家。紫の上は出家を願うも許されないまま死亡。

光源氏も悲嘆にくれ、出家したのち死亡。(源氏が亡くなったとされる雲隠れは帖はなく、帖名のみ。)

第三部 「宇治十帖」 薫と匂宮、宇治の三姉妹の物語。(第四十二帖 匂兵部卿宮~五十四帖 夢浮橋)

光源氏の死後、舞台は宇治へと移ります。光源氏の物語に比べ、仏教色が強いのが特徴。

自分の出生に疑問を持ち、常に出家を考える薫と対照的に遊び人である匂宮(におうのみや)。
薫は産まれつき身体から魅力的な香りがするから薫、匂宮は薫に対抗し、常に香を焚きしめていたから匂宮と呼ばれていました。
薫と匂宮が宇治の三姉妹(大君、中の君、浮舟)との恋愛が中心として描かれます。

大君は薫思われながら死亡。中の君は匂宮と結婚し、男子を出産するも匂宮の女性関係等に悩む。また、浮舟は薫と匂宮の間で板挟みになり、入水未遂後に出家したというところでこの物語は幕を閉じます。

「源氏物語」をより身近に感じよう

難しいと敬遠しがちな古典文学ですが、お菓子や漫画など身近なところから取り入れてみると身近に感じることができるのでおすすめです。

源氏物語の漫画 おすすめ3選

「源氏物語」の内容を知りたい時には漫画が非常におすすめです。お子さんが古典の勉強をする時にも漫画で内容をつかむと理解しやすくなります。

①「源氏物語」の漫画の決定版。大和和記「あさきゆめみし」全13巻/完全版 全10巻

まるで絵巻物のような絵柄の美しさに加えて登場人物一人ひとりの性格や心情が事細かに表現され、
夢中で読んでしまう作品です。

②光源氏が栗に!!小泉吉宏「まろ、ん?ー大掴源氏物語」全1巻

「麻呂」と「マロン」をかけて「光る君」が栗のキャラクターになったユニークな1冊。
一帖が見開き1ページ(8コマ)まとめられている。4コマ漫画でわかりやすく読めるので簡単に全体の内容を理解するのにおすすめ。

③映画と一緒に読むのがおすすめ! 宮城とおこ/高山由紀子/川崎いづみ 「源氏物語 千年の謎」全2巻

生田斗真さんが光源氏、紫式部を中谷美紀さんが演じた映画のコミカライズ版。創作部分も多いのが特徴。源氏物語よりも紫式部に焦点を当てた作品。映画と合わせて読むとより理解が深まります。

「源氏物語」のお菓子

「源氏物語」をテーマにしたお菓子と物語の中に登場し、現代でも食べることのできるお菓子を紹介します。

①パッケージに描かれた絵巻物が美しい 京都宇治式部郷「源氏歌合せ」

画像引用:宇治式部卿公式ホームページ

絵巻物のような美しい箱に「源氏物語」の登場人物が描かれたパッケージが魅力。食べやすいサイズでいろいろな味が楽しめるので、プレゼントにも喜ばれます。京都府宇治市に本店があり、北海道から九州まで百貨店で取り扱いがあります。

公式URL:源氏物語ゆかりあられ専門店 京都宇治式部郷 (https://www.shikibunosato.com/)

②ウリ坊の形が愛らしい 亥の子餅

画像引用:とらや公式ホームページ

亥の子餅は「葵」の巻に登場します。旧暦10月の宮中行事(亥の子祝)があり、亥の日の亥の刻(午後9時~11時)に猪の子(ウリ坊)をかたどった亥の子餅を食べると万病を防ぐといわれていました。
猪は多産の為、子孫繁栄を願う意味も込められていたとされます。現在、亥の子餅は10月~11月(旧暦10月)頃店頭に並ぶことが多いです。
亥の子餅の内容は時代や材料、菓子店によっても異なります。

③椿の花をかたどった上品な和菓子  椿餅

画像:とらや公式ホームページ

「若菜上」という巻に登場。蹴鞠(けまり)の後に若い人々が食べる場面が描かれています。
椿餅はその名の通り、椿の葉の間に俵型の道明寺あんを挟んだもの。現代では2月頃の季節菓子です。
亥の子餅同様に当時とは味が違うと考えられます。平安貴族も食べていた和菓子が現代にも受け継がられているとはロマンがあります。

ゆかりのおでかけスポット3選

「紫式部」や「源氏物語」の世界を体験できる場所があったら訪れたいと考える方もいらっしゃると思います。
ここではおすすめスポット3選をご紹介します。

①「源氏物語」ファンなら一度は訪れたい 宇治市源氏物語ミュージアム(京都府宇治市)

画像引用:源氏物語ミュージアム公式ホームページ

宇治にある「源氏物語」の世界を堪能できる博物館。
アニメの源氏物語の上演や併設のカフェ「雲上茶寮(うんじょうさりょう)」では、雅やかなメニューが楽しめます。ここでしか手に入らないオリジナルグッズも多数。

公式URL:源氏物語ミュージアム – 宇治市公式ホームページ (https://www.city.uji.kyoto.jp/soshiki/33/)

②一歩足を踏み入れればそこは源氏物語の世界「源氏香」(愛知県 南知多温泉)

画像引用:源氏香公式ホームページ

「源氏物語」の世界が広がる温泉旅館。香りをテーマにしており、館内に漂う優雅な香りが魅力。
打掛を着ての記念撮影など平安時代にタイムスリップしたような楽しい時間が過ごせます。
伊勢湾の絶景を堪能できる露天風呂や豪華な食事で身も心も癒されます。

公式URL:知多半島 南知多温泉郷の旅館「源氏香」|薫りをテーマにした温泉旅館 (https://genji-koh.kaiei-ryokans.com/)

③紫式部の思い出の地 「紫ゆかりの館」(福井県越前市)

画像引用:紫ゆかりの館公式ホームページ

紫式部が父藤原為時の国司赴任に伴い、青春時代を過ごした越前たけふの地にある資料館。
子供向けのイベントなどもあり大人から子供まで楽しめます。

公式URL:紫ゆかりの館 -Murasaki Yukari Museum of Echizen- | 紫式部と国府資料館 | 日本(https://www.murasakiyukari.com/

源氏物語以外の紫式部の作品を知ろう

紫式部は「源氏物語」以外にも作品を残しています。紫式部の人柄や当時の貴族の生活を知る貴重な資料ですので、興味があったらぜひ読んでみてください。

①「紫式部日記」紫式部の日記と手紙

中宮彰子の出産や宮中での生活、清少納言など同世代に活躍した女性たちに対する批評などが書かれた作品です。紫式部の控えめながら気の強い性格をのぞくことができます。

②歌人としても有名 「紫式部集」紫式部の詠んだ和歌集と百人一首

紫式部の和歌集です。前半は明るい作品が多く、後半は否定的な作風が目立つという特徴があります。

紫式部は歌人としても優秀で、「源氏物語」にも多数の和歌が登場します。

また、近年、競技かるたで人気の百人一首にも歌が選ばれています。

令和時代に描かれる新しい大河ドラマ「光る君へ」

以上、「紫式部」と「源氏物語」についてご紹介しました。

今から1000年上も前に活躍した女性が描いた「源氏物語」ですが、現代の私達が読んでも共感できるところがたくさんあるとても魅力的な作品です。

作者の紫式部は、シングルマザーだったり、仕事を持っているという現代の女性たちとの共通点もみつけることができました。

女性が活躍する時代と言われる現代において、2024年の大河ドラマではどのような「紫式部」や「源氏物語」が描かれるのか期待が高まります。