子供の身長を伸ばすには?と悩んでいる親御さんは、たくさんいますよね。
なぜなら、高身長のほうが有利になるスポーツもありますし、身長面で子供に苦労させたくないという親心もあると思います。
子供の身長は親の遺伝によるものも多いですが、それ以外の要因も大きく影響することはご存じでしょうか?
それは『成長スパート』を見逃さないことがポイントとなるのです。
そこで今回は、子供の身長を伸ばすため、実践できる具体的なポイントについて説明します。
①まずは『成長スパート』を知ろう
1-1 成長スパートとは?
人生の中で、身長が急激に伸びる時期が2回あります。
1回目は赤ちゃんのとき(第一次性徴)で、次は思春期のとき(第二次性徴)で、女子は10~12歳で約8cm、男子は12~14歳で約9cm伸びるのです。
この第二次性徴を『成長スパート』と言い、男女ともに急激に身長が伸びる時期のことを指します。
成長スパートの時期を過ぎると、身長の伸び率は徐々に減少し、一般的に男女ともに18歳までには身長の伸びが止まります。
1-2 成長スパートの時期を知る方法は?
両親の身長から身長を予測する『予定最終身長計算式』 があります。
- 男子の予測身長 ( 両親の身長の合計 + 13 )÷2 + α
- 女子の予測身長 ( 両親の身長の合計 - 13 )÷2 + α
例えば父親175cm、母親160cmであれば、男の子なら(175+160+13)÷2=174cm + α
つまり、その子の予測される身長は174cm +αということになります。(※これはあくまでも成長の目安です。)
αの平均は2cmですが、+αの部分が生活習慣によって-3 ~ + 9cm伸びる可能性があることが、ある研究で示唆されています。
そのチャンスを見逃さないためには、定期的に身長を計測し、成長の変化を記録していくことが大事になります。
注目して欲しいのが、スパート直前に少し成長率が下がる時期があるのですが、これはスパートのための『ため』の時期があるのです!!
ですから身長の増え方鈍ってきたと思ったら、スパートの予兆かも知れません。
そして身長曲線が大きく傾いてきたら、そこが自分の成長スパート突入のサインだとわかりますね。
では、この成長スパートの直前の時期に、生活習慣をどう意識すれば身長が伸びるのでしょうか?
鏡雅代,田中敏章,緒方勤:日本人のtarget heightおよびtarget rangeの再評価.第37回日本小児内分泌学会,2003
②成長スパートの直前に、身長を伸ばすために意識するポイントは?
2-1 適度な運動
予測身長よりも身長を伸ばすためには、成長スパーク前に運動や遊びで体を動かすことが大切です。
骨は刺激を与えることで強くなり、伸びていきます。
身長を伸ばすためには、効果的な運動
- ストレッチや体操 → 柔軟性を高める
- 鉄棒などのぶら下がり運動
- スキップやジャンプ・縄跳びなど → 骨に刺激を与える
- 水泳 → 持久能力を高める
成長スパート期を迎える前の、小学校の中~高学年の時期に、定期的に運動をすることで、骨や筋肉・結合組織への刺激が加わり、成長スパート期での身長の伸びをより促進します。
運動量が極端に少ない状態で急激に体重が増えてしまうと、脳は『エネルギー状態が満たされた=成長を止めてもいい』と勘違いを起こし、身長を止めてしまいます。
ですので、体重のコントロールにも注意が必要ですね!!
2-2 バランスの取れた食事
身長を伸ばすには、骨や筋肉を作るさまざまな栄養素がたっぷりと必要です。
成長スパートの時期は、人生の中で最もカルシウムの吸収率が高くなりますので、その前から意識して摂取するといいですね。
身長を伸ばすのに大きな影響を与えるな栄養素6つ
- たんぱく質・・・骨の原料となる(肉・卵・乳製品・大豆製品)
- カルシウム・・・骨や歯・血液の材料となる(乳製品・魚介類・小松菜・切干大根・ナッツ類)
- ビタミンD・・・カルシウムの吸収を高める(卵・キノコ類・鮭)
- ビタミンK・・・ 骨の形成を促す(肉類・海藻・キャベツ・キャベツ・ほうれん草)
- ビタミンC・・・たんぱく質の吸収をUPさせる (フルーツ)
- 亜鉛・・・・・・成長ホルモンの生成にかかわる(肉・魚介類・大豆製品)
コツは『少しでもよく噛んで、しっかり消化して、ムダなく吸収されるようにする』ということです。
2-3 捕食をうまく活用しよう
食の細い子や疲れて食べることができない子供は、運動に使えるエネルギーが少ない状況になります。
そういう子供にたくさんの運動をさせてしまうと、発育のエネルギーが足りなくなり、成長スパート期が見られなかったり、ピークの山が低くなってしまうことがあります。
発育のエネルギーが不足しないためには、朝昼夕の3食 + 補食を摂って、このエネルギー量を確保する必要があります。
補食のポイント
- 低脂肪
- 必要な栄養素
- 手軽さ・携帯性
補食=おやつではありません。
一日分のトータルで栄養を考え、効率よく、無駄なく栄養を摂ることができます。
手軽に摂れる、おすすめ補食
- 主食→おにぎり・パン・コーンフレーク
- 副菜→野菜ジュース・野菜スープ
- 主菜→ゆで卵・サラダチキン・魚肉ソーセージ
- 乳製品→牛乳・チーズ・ヨーグルト
- 果物→バナナ・フルーツジュース(果汁100%)
- その他→ジュニア用プロテインドリンク
2-4 睡眠・休息
成長ホルモンが分泌されることで骨や筋肉は成長していくため、成長スパートの時期は『一日8~10時間』の睡眠時間が必要です。
最近はよく、『午後10時から午前2時の間に成長ホルモンが多く分泌されるゴールデンタイムには、寝てたほうがいい』と聞きますよね。
でもこれはよくある誤解で、成長ホルモンは特定の時間に分泌されるものではありません。
何時に寝ても深い眠り(深睡眠)の状態になれば、成長ホルモンは分泌されるのです。
深い眠りにつくには、お風呂で体の芯まで温まり深部体温を上げて、体温が下がってきた頃に寝るのがポイントです。
体がポカポカしたままだとかえって眠れないため、布団乾燥機や電気毛布などで布団を温めるのはやめましょう。
成長ホルモン分泌の体内時計を整えるためにも、同じ時間に寝て同じ時間に起きることもポイントになります。
③さいごに
筋肉や脂肪は成長スパートの後にもつけることができますが、身長は成長スパートを逃してしまうと、後から大きく伸びるということがありません。
せっかくの誰にでも訪れる成長スパートをうまく生かし、後悔のないように運動・栄養・睡眠について実践してみるといいですね。
また、親御さんだけではなくお子さん本人が自己管理能力(好きな味だけでなく、体のために必要な栄養素を含む食品を選べる能力)を身につけて、自分で準備・購入できるようにサポートすることも大事なことでしょう。