こんにちは、食べかた研究家ギール里映です。
子どもの困った性格は生まれつきだから仕方ない、と思われています。
この記事ではこれらの性格が、日常の簡単な習慣でがらりと変わるということを、東洋医学の視点からお伝えしてまいります。
「なんでうちの子は、なんでもイヤイヤ言うんだろう・・・」
「なんでうちの子は、いつも引っ込み思案なんだろう・・・」
そういう性格だから、仕方がないと思っていませんか。
性格だけではなく、体調もです。
鼻炎がある、熱を出しやすい、ということがあっても、うちの子はそういう体質だから仕方ない、そういうものだと、諦めていませんか。
こういうお子さんのお困りごとは、実は食事で解決することができます。
まさか食事で、と思われるかもしれません。しかし食が子どもたちの体調だけでなく、性格にも大きな影響を及ぼしているということは、最近の研究でも明らかになってきています。*1
【全てのことに原因があります】
まず、大前提として、どんなことにも必ず原因がある、ということを理解しましょう。
仏教用語では因果(いんが)、といいます。今の状態になっているのには、必ずなんらか起因となるものがある、という考え方です。
もちろん、もともと持っている性格や体質が起因になっていることもあるため、「変えようがない」「どう変えればいいのか分からない」と思う方もいるでしょう。
しかしそうではなく、起因が分かっているのであれば、それを自分でうまくコントロールできるようになればいいのです。
鼻炎になりやすい体質が原因、という場合のお悩みの解決策
例えば、体質として鼻の粘膜が弱めですぐに鼻炎になりやすいお子さんだったら。
1 鼻の粘膜を強化するような食べかたをする
粘膜強化の食材として一番おすすめなのがれんこんです。れんこんを切った時に糸をひきませんか?あの糸引き成分であるムチンが、粘膜を強化してくれるのです。毎日摂りたい食材の一つです。
2 粘膜を弱めてしまう食べ物を避ける
皮膚を乾燥させ、荒らしてしまう食材があります。その代表がなんと、小麦。ふわふわのパンは美味しいのですが、食べすぎると体内の粘膜を荒らし、皮膚をかさかさにしてしまうことがあります。
どうもお肌が乾燥するなと思ったら、試しにちょっとだけ控えてみてください。
3 空気清浄機を使って空気の状態をよくする
食べ物以外でもできることはたくさんあります。 案外見落としがちなのが空気です。毎日24時間鼻から吸っている空気の質により、鼻に負担をかけていることがあります。
ちょっと想像してみてください、太平洋のど真ん中にある無人島で吸う空気と、日本の工業地帯、煙突が立ち並ぶ街で吸う空気では、その質がまったく異なります。
特に大都市に暮らす方たちは、家のなかぐらいは綺麗な空気を保つよう工夫できるといいですね。
このように、理由がわかっていればできることはいっぱいあります。
【性格や体調は、臓器と毎日の習慣から作られる】
もともと持っている性格や体質の問題でない場合もあります。
例えば、本来は大人しい性格をしている子でもイライラと落ち着きを無くしてしまうこともあります。
普段は落ち着いている子でも、なぜか攻撃的になったり、瞬間湯沸かし器のように怒りを爆発させて、手がつけられなくなる時がありませんか。
そのイライラは、もともとの性格のせいだと思うかもしれません。
実はこれが性格ではなくて、食べているものが原因でそうなることが、医学でも証明され始めています。*2
人の感情や性格に、密接に結びついている臓器があります。
全ての臓器は、人の感情と密接に結びついていますが、その中でも特に意識したい臓器があります。それが、腸です。
腸のなかには、善玉菌、悪玉菌、日和見菌といわれる様々な菌が住んでいるということはご存知の方も多いと思います。
実はこの腸に、ものすごい役割があります。
その役割とは、腸の中に存在する様々な神経伝達物質が、人間の精神状態を作り出すという役割です。これは最近の研究でますます明らかになりつつあります。*3
腸内環境を作るのは出産時にお母さんから受け取る常在菌がベースではありますが、その後毎日食べるもので作られていきます。
特に1歳までの食事で腸内環境のベースが作られ、3歳ごろまでにほぼ完成していきます。つまり3歳までに食べた食事で、その子の一生を支える精神の大部分が、作られてしまうということなのです。
【まずはサインに気づこう〜小さなことから始める食べかた改善】
もう我が子は3歳を過ぎてしまっている、と焦らなくても大丈夫です。
気づいた時が始める時。今日からお子さんの状態を、しっかりと見て感じてあげてください。
今日はいつもより大人しいな、とか、やたら元気があるな、など、お子さんの状態に気づいてあげることがまず大切です。
そのサインに気づいたら次は、そのためにできることをトライしてみましょう。
子どものサイン別食べかたワンポイントヒント
1 砂糖だけじゃなかった?お子さんのイライラの原因
よく砂糖でキレる子どもになるなどと言われることもあり、砂糖に気をつけたいと思っているママたちも増えてきました。
しかしイライラの原因は砂糖だけではありません。
イライラがひどいのは、肝臓という臓器がお疲れのサインです。まずはスイーツやスナック菓子が多くなかったか、食べさせすぎていないかを振り返ってみましょう。
食べすぎには量だけでなく、種類も含みます。
たくさん栄養を摂らせたいと思い、おかずを作りすぎていませんか?
多様すぎるメニューは摂れる栄養は多くなりますが、却って消化と代謝の負担を増大してしまいます。
基本のご飯とお味噌汁で、シンプルに食べることで肝臓の負担を減らすと、イライラは自然と収まっていきます。
2 いつも泣き虫、ぐずりやすいお子さんには?
なんだか元気がなく、ぐずりやすくてすぐに泣いてしまうお子さんは、大腸という臓器がお疲れのサインです。
大腸は食べ物のカスが大便となり、排出をしていく臓器です。この臓器が疲れてしまうと、体内のいらないものを排出できずに、多くの不調を生み出してしまいます。
便秘や下痢はないですか。
パンやクッキーなどの小麦製品が多くないか、乳製品を摂りすぎていなかったか、ちょっと見直すことで改善をすることができます。
3 引っ込み思案で怖がりなお子さんは?
人見知りが激しくていつも一人でいたがる、新しいことにチャレンジさせたいけれど、本人が今一つやる気を出してくれない。
そんな場合は、腎臓という臓器がお疲れのサインです。
腎臓は生命エネルギーを産まれたときから蓄えています。人はそのエネルギーを少しずつ消費して生きていきます。生命エネルギーの減りが早いと、命を縮めてしまい、怖いという感情が出やすくなります。
こんなときは黒いもの、例えば海苔やわかめ、木耳、黒豆など、ミネラルが豊富なものが助けてくれます。普段より多めに意識して、食卓に取り入れてみてください。
我が子のサインに気づき、何かをしてあげることができるのはお母さんの特権です。 ぜひ楽しみながら、食を子育ての最強の応援団として活用してみてくださいね。
<<ライター:ギール里映>>
*1、*2
子 ども期の食事がその後の味覚感受性や 性格特性 に及ぼす影響
日本 家 政学 会 誌 Vol. 48 No. 7 621 ~ 631 (1997)
岡 本 洋 子 , 田 口 田 鶴 子 (鈴峯 女 子 短 期 大 学 , ’倉敷市 立 短 期 大 学 )
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej1987/48/7/48_7_621/_pdf
『子どもの心とからだの異変とその対策』前橋明著、明研図書、2001年
*3
腸のおもしろ話 第6回 メンタルヘルスにも関係?腸内環境と心身の密接な関係 サンスターホームページより
https://www.kenkodojo.com/guts/detail6/
内藤 裕二 京都府立医科大学附属病院 内視鏡・超音波診療部 部長
太陽化学株式会社ホームページより
https://www.taiyokagaku.com/lab/column/11/
うつ病の人の腸内細菌を調べたら… 調査から見えること
国立精神・神経医療研究センター 功刀浩さんインタビュー(上)朝日新聞Re ライフnet
https://www.asahi.com/relife/article/12958733